泣く、笑う、喧嘩する。低学年のグラウンドは今日もカオス。

泣く、笑う、喧嘩する。低学年のグラウンドは今日もカオス。

低学年の指導って想像以上に大変だ。

怒れない。優しく言っても言うことを聞かない。

喧嘩、泣き声、笑い声。グラウンドはいつもカオス。

でも、その小さな背中を見ていると
「この子たちなりに本気で頑張ってるんだよな」と思う瞬間がある。

怒るのも違う、放っておくのも違う。

その間で毎週揺れながら、それでも僕はまたグラウンドに立つ。


――低学年の指導は修行。でも、可愛くて仕方ない。

怒れない。でも言うこと聞かない。低学年の指導は修行。

低学年の指導って本当に大変。

これはどこのチームでも同じだと思うけど
実際に毎週グラウンドで向き合ってると、

心が折れそうになることもある。

厳しく怒るわけにもいかない。

まだ小さいから強く言えば泣いてしまう。
でも優しく言えば話しを聞かない。

「はい!」と元気に返事してくれても次の瞬間にはもう違うことをしてる。

そしてあちこちで喧嘩。

「順番抜かされた!」「エラーしたら笑われた!」

そんなことで泣き出したり怒鳴り合いになったり。

こっちは止めるのに必死だし
話を聞いてもどっちも悪くないパターンが多い。

それがまた難しい。

どっちの気持ちも分かるし、どっちも正しい。

だからこそ、余計に間に入るのが大変なんです。

子どもたちはまだ“やり方”を知らないだけ

低学年の子って、まだ「チームで動く」という感覚がない。

“自分がやりたいようにやる”のが自然。
だから、集合って言っても一列に並ばないし、順番も覚えていられない。

それでも本人たちはふざけてるわけじゃない。
むしろ一生懸命なんですよね。

「早くやりたい!」という気持ちが強すぎて、前に出ちゃう。

「悔しい!」って感情が爆発して、友達にぶつけちゃう。

そういう感情の起伏も、すべて“成長の途中”なんだと思う。

頭ごなしに怒っても意味がない。

でも

伝わらないもどかしさ。
止まらない喧嘩。
言ったそばから忘れて、また同じことを繰り返す。

それでも、あの子たちは悪くない。

「まだ知らないだけ」なんです。

飽きない工夫が必要。それでも限界がある。

だからコーチとしては、なるべく飽きさせない練習を考えるようにしている。

集中力はせいぜい10分。

同じメニューを続けると、すぐ飽きて集中が切れる。
ボール遊び感覚のキャッチボールや、ミニゲーム形式のノックなど、

とにかく「楽しみながら動く」ことを意識している。

でも、現実はきれいごとじゃない。
どうしてもコーチの数が足りない日がある。

全員に目が届かない。

ひとりを教えている間に、別のところで誰かが喧嘩している。

待ち時間が長くなれば、遊びだす子も出てくる。

それを注意しても、また別の子が走り回る。

「こりゃ無限ループだな…」と思うこともある。

それでも、そんな中で“何かひとつでも学んで帰ってくれたらいい”と信じてる。
キャッチボールが一回うまくいった。
ゴロを怖がらずに前に出た。


そんな小さな成長を見逃さないようにしている。

申し訳なさと、愛しさと。

正直、いつも思う。

もっといい環境でやらせてあげたいって。

もっとコーチがいて、もっと丁寧に教えられたら。

もっとグラウンドに余裕があって、思い切り走り回れたら。
そう思う場面がたくさんある。

でも現実はそうはいかない。

保護者も仕事、コーチも家庭がある。
限られた時間の中で、できることをやっている。

だから「申し訳ないな」と思う瞬間もある。

それでも、あのちびっ子たちを見ていると、

そんな気持ちも少し救われる。

一生懸命ボールを追いかけて、転んで、泣いて、笑って。

誰かの真似をして構えたり、打った瞬間に「見た!?」って顔をしたり。


その姿を見ていると、こっちも自然と笑顔になる。

野球をやってる子は、やっぱり可愛い。

低学年の子たちは、まだ“勝ち負け”よりも“楽しいかどうか”がすべて。

そこに一生懸命さがある。

下手でもいい。ミスしてもいい。

全力でボールを追いかけて、笑って、泣いて、また挑戦する。
その姿こそが、野球の原点なんじゃないかと思う。

指導者としては、もっと上手くしてあげたい。

でも、それ以上に大切なのは「野球を好きでい続けること」。

小さな成功を積み重ねて、「できた!」の瞬間を増やすこと。

そのために、これからも一緒に笑って、怒って、励ましていこうと思う。

低学年の指導は本当に大変。


だけど、やっぱり一番可愛い。


彼らがグラウンドにいるだけで、チームが明るくなる。

今日もまた、ちびっ子たちに鍛えられてます。




一生懸命だから、よく笑い、よく泣き、喧嘩もするんだろうな

グラウンドから綴る Written on the Field

鬼コーチ

鬼コーチ

子どもたちには厳しいけれど、本気で成長を願っている「鬼コーチ」です。 怒るのは、技術じゃなく“心”の部分。 教えているつもりが、いつも子どもたちに教えられています。

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